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ゴルフ界の新たな取り組み「プレイヤー・インパクト・プログラム」はデジダル時代の特別ボーナス

2021.06.14更新

ゴルフ人気への貢献を多角的に評価

現代社会で生活していると、TVなどの既存メディア、世界各国の通信環境発達によるネットメディアやSNSなど、毎日多くの情報に触れます。

それはスポーツに関する情報も例外ではなく、誰が勝った、大会で誰が優勝したという競技シーンの情報もあれば、選手個人のSNSを見ることで、選手のプライベートに触れることもできます。
そうなると、選手の人気というのは単純に競技の実力だけでなく、いかにメディアに露出し、そこで好感度を獲得するかも重要になってきます。

そうしたメディアを通して獲得した人気は、スポンサーの獲得などには役に立つでしょうが、競技に役に立つわけではありません。

ゴルフの普及に貢献した選手はゴルフ界にとって大切な人材

ゴルフを上手くなろうとしたらゴルフの練習をする必要があります。

そして、ゴルフのプレイヤーにおける競技での賞金は、収入面でとても大きい比重を占めています。
要するにゴルフで稼ごうとすると、メディアにでるよりも、ゴルフの練習をしてゴルフが上手くなるのが大事だということになります。
しかし、ゴルフがそこまで上手くなくても、メディアで人気があって、ゴルフの普及やイメージアップに貢献している選手はゴルフ界にとって大切な人材であるはずです。

そこで、2021年4月21日にPGAから新たなプログラムが発表されました。

それは「プレイヤー・インパクト・プログラム」と呼ばれるもので、2021年1月1日から既に開始されています。2021年の1年間で人気がありゴルフ界に貢献したプレイヤー10人に、4000万ドル(約40億円)が分配され、その中で最も価値があるプレイヤーには800万ドル(約8億円)が贈られると発表されました。想像以上の大金です。
ちなみに2019年なら誰が800万ドルをもらえるかというシミュレーションが行われていて、仮に2019年度にプレイヤー・インパクト・プログラムがあったとすれば、タイガーウッズ選手に800万ドルが贈られることになっていました。

今やデジタル・メディアが鍵を握る、選手の”人気”

競技面での実力以外を評価するこのプログラムは、他のスポーツではあまり見られない画期的なものです。

プレイヤー・インパクト・プログラムではインパクトスコアという数値を算出して、選手を評価します。

インパクトスコアの算出方法には5つの評価軸があります。

1. 「ネット検索」:Google検索における人気

私たちも日常的に使うネット検索で人気があるかないか

2. 「TV・メディア露出度」:Nielsen Brand Exposureによる評価

Nielsen Brand Exposureとはメディア評価をする会社の名前で、TV取り上げられた時間やスポンサーへの貢献度を計測します

3. 「ブランド力・親しみやすさ」:Q評価

Q評価はメーカー、ブランド、有名人、エンターテインメント等の魅力や親しみやすさを評価する指標で、アメリカでよく使われています

4. 「SNS/デジタルメディア人気」:MVPインデックスによる評価

SNSなどのソーシャルメディアやデジタルやメディアにおいて、プレイヤーがどれくらい人気があるかを評価します

5. 「プレイヤー自身による発信力」:Meltwaterによる評価

Meltwaterはメディアモニタリング会社の名前で、プレイヤー自身がメディアに発信する頻度や範囲を計測しています

以上の5つの評価軸からインパクトスコアを算出し、上位10名のプレイヤーに4000万ドルを分配します。

PGAがプレイヤー・インパクト・プログラムを始めた理由

PGAがプレイヤー・インパクト・プログラムを始めた理由は、大きく分けて2つあるといわれています。

1つは新しいゴルフツアーをイギリスで始めようとする動きがあって、そちらに人気選手を引き抜かれないようにするため、人気選手がボーナスを得ることができる仕組みをスタートさせる必要があったこと。

もう1つは、やはり現代社会においてメディア、特にインターネットを介したネットメディアの影響力の大きさがすさまじいからです。

ゴルフ以外のスポーツでもメディアによる影響は確実に大きいので、このような人気を評価するプログラムが今後、他のスポーツに波及するのかどうかも注目していきたいですね。

参考URL
https://golfweek.usatoday.com/2021/04/20/pga-tour-bonus-pool-top-players-tiger-woods-bryson-dechambeau/